FIRE EMBLEM Wiki
Advertisement

 『ファイアーエムブレム トラキア776』(ファイアーエムブレム トラキアななななろく)は、日本で1999年に発売されたシリーズ第5作である[1]。SFメモリカセットプリライト版DXパックは8月28日、通常プリライト版は9月1日。SFメモリカセットでない通常のROMカートリッジも2000年1月21日に発売され、これが任天堂発売のSFC用ソフトとしては最後のROMカートリッジとなった(最後のSFC用ソフトはニンテンドウパワー書き換え専用の「メタルスレイダーグローリー ディレクターズカット」)。日本以外の国では発売されていない。

 DXパックはローソン専売のニンテンドウパワー・SFメモリカセットプリライト版に加えて布製マップやぬいぐるみ・VHSビデオが入った限定版であり[2]、任天堂がこうした「限定版商法」を行う事例は稀であったため話題となった。

 2008年7月15日よりWii向けバーチャルコンソールで配信が開始されているが、その際にCERO審査で「B 12歳以上対象」(コンテンツアイコン・犯罪)に区分されている[3]WiiU版のバーチャルコンソール配信開始日は2013年7月10日で、2016年11月28日にはNew3DS版のバーチャルコンソールの配信が開始された。

ストーリー

後の世に「混迷の時代」とよばれたユグドラル統一戦争の初期トラキア半島の小国レンスターに

一人の英雄がいた。

聖戦士ノヴァの血を受け継ぐ王子、その名をキュアンという。 


グラン暦761年、グランベル王国シアルフィの公子シグルドは宮廷内における勢力争いと、

これを利用するロプト教団の策謀によって反逆者の汚名をきせられ、イード砂漠に孤立していた。

キュアン王子は苦境に立つ友を救うべく一軍を率いてイードに向うが、

その途上、背後よりトラキア軍の奇襲を受け配下のランスリッターとともに全滅する。

後に「イードの虐殺」と呼ばれるこの戦いで

レンスター王国の希望であったキュアン王子は愛する妻とともに、その短い生涯を終えた。


王子夫妻の戦死によるレンスターの弱体化と皇帝アルヴィスによるグランベルの統一は

トラキア地方の勢力図を激変させた。

半島統一を悲願とするトラキア王トラバントはこの機を逃さじと侵攻を開始、

またたくまに北部諸国を制圧する。


だが、ときを移さずグランベル帝国軍がトラキアに侵攻、

メルゲン谷の戦いで大敗北を喫したトラバント王は野望むなしく南へと敗退した。

一方、レンスター王家の生き残りキュアン王子の遺児リーフは、

レンスター落城の際、騎士フィンに抱えられ、数少ない仲間とともに辛くも脱出に成功する。


その後、リーフたちは、アルスター、ターラといったトラキア各地をめぐる逃避行の末、

東海岸の小さな開拓村、フィアナにたどりつく。

フィアナの女城主エーヴェルは、彼らを快く迎え入れ、

リーフは、彼女の元で、彼女を慕って集う若者たちと交流を重ねながら、

次第に大人へと成長を重ねていった。


時おりしも、大陸東方イザークの隠れ里ティルナノグでは、

シグルドの遺児セリスを中心とする勢力が着実に力をつけつつあり、

ゆるやかにではあったが、着実に新たな時代への胎動は始まっていた。


そしてグラン暦776年、リーフ15歳。

彼にとっての「聖戦」が、今始まろうとしている…

(トラキア776公式サイト「Story」より引用)

本作の特徴

  • 歴代シリーズ中、屈指の高難易度
 本作の特徴は数多くあるが、真っ先に難易度の高さが挙げられる事が多い。その原因の一つとして挙げられるのが、敵AIの賢さである。本作の敵ユニットは、体力が少なくなればきずぐすりを使用し、武器が無くなれば武器屋へ買い出しに行く。武器を持たないユニットが居ればそのユニットを捕獲し、マップ端の離脱地点から離脱を試みる。これら敵ユニットの行動を予測する事は難しく、プレイする毎に増援の出現パターンやステータスが変化するため、システムやマップについて習熟するまでは一筋縄では行かないゲーム内容となっている。
  • 特徴的な命中率
 ファイアーエムブレムシリーズの命中率は、ほぼ全ての作品で上限100%、下限0%となっている。しかし本作においての命中率は、上限99%、下限1%である。これは必中の攻撃や、必ず回避できる攻撃が存在しない事を意味しており、戦闘結果の予測が他作品に比べ格段に難しくなっている。また本作においては、ライブやリブロー等の回復用の杖にも命中率が存在しており、使用ユニットの技のステータスが低い場合は回復等を失敗する事もある。
  • 勝利条件の増加
 これまでの作品の勝利条件は「玉座や城の制圧」のみであったのに対し、本作からは様々な勝利条件が登場する事となる。特定地点からの離脱を目標とする「離脱マップ」や、規定ターンまでの防衛を行う「防衛マップ」など、これまでのマップとは全く違った戦法を要求されるものがほとんどである。
  • 索敵マップの登場
 本作の難易度が高い事の一因として、本作で初めて導入された「索敵マップ」の存在が挙げられる。これは地下空間や夜間の屋外等、十分な視界が確保できない状況下のマップにおいて有効となるものである。
 プレイヤーは自軍ユニットの居る位置から数マス先までの状況しか見る事ができず、範囲外にはどのような地形タイルがあり、どの兵種の敵ユニットがどこに何体居るかといった、普段であれば簡単に確認できる事項であっても一切の確認が不可能となる。次回作となるGBA「封印の剣」以降では、索敵範囲外であっても地形等を確認する事は可能であり、登場頻度もあまり多くはないが、本作においてはこの索敵マップの数が多く、プレイヤーのゲームクリアを阻む大きな壁の一つでもある。
  • ステータス「体格」の導入
 本作で導入され、後の作品に大きな影響を与えたシステムは多いが、その中でもゲームの根幹に関わるものがこの「体格」のステータスである。このステータスが表すものはユニットの体格そのものであり、ゲーム中ではこの数値の大小によってメリット・デメリットが発生する。
  • ステータス「疲労度」の存在
 ユニットが戦闘や行動を行った際に蓄積するステータスとして、本作では「疲労度」が導入された。このステータスの数値がユニットの体力より多くなった場合、そのユニットは疲労状態となって出撃が不可能になる。疲労状態を回復させるには、次のマップまで出撃させずに休ませるか、「Sドリンク」という使い捨ての回復アイテムを使用しなければならない。このアイテムは1個5,000ゴールドと非常に高額であり、購入できるマップも限られている。
 このステータスが存在することにより、育成した一部のエースのみでゲームを攻略するといった従来作品でできていたような事はほぼ不可能となるほか、マップのボス相手に弱い武器で戦闘を挑み、経験値を稼ぎ続ける行為も難しくなっている。なお主人公であるリーフにはこのステータスが存在しないため、全マップで出撃が可能なユニットは実質リーフのみとなっている。
 このステータスが高い場合のメリットは、後述の「かつぐ」「ぬすむ」コマンドを使用する際に選択の幅が広がるほか、武器の重さをある程度相殺する事が可能となる。このステータスが高い場合のデメリットは本作においてはほとんど存在しないが、他のユニットに担いでもらいにくくなるというものが存在する。このステータスが最大になった場合は、どのユニットでも当該ユニットを担げなくなってしまい、後述する離脱マップの多い本作においては致命傷にもなり得るものである。
  • 「かつぐ」「おろす」コマンドの導入
 本作では、シリーズ初となるコマンドも数多く導入された。その中でも本作のゲームシステムの根幹に関わるものが、この「かつぐ」「おろす」のコマンドである。
 「かつぐ」コマンドは、自分の体格未満のユニットを担いで一緒に移動させる事ができるようになるもので、他ユニットを担いでいる間は能力が低下する。このコマンドで担いだユニットは「おろす」コマンドで隣接するマスに降ろす事ができるほか、「人交換」コマンドで他ユニットに引き継がせる事も可能である。
  • 「ぬすむ」「捕える」コマンドの重要性
 前作にあたるSFC「聖戦の系譜」で導入された「ぬすむ」コマンドは、前作では敵ユニットの所持金を盗むにとどまっていたが、本作では盗むユニットの体格未満の重さのアイテムならば、ありとあらゆるものを盗む事が可能になった。これは次回作以降の同名コマンドとは異なり、装備中の武器であっても盗む事が可能である。一部装備品の中には盗めないアイテムも存在するが、ゲーム中に登場する大半のアイテムはこのコマンドで入手が可能である。
 一方の「捕える」コマンドは、この記事の編集時点では他のどの作品にも導入されておらず、現状では本作が唯一の登場である。このコマンドでは自分の能力を減少させて攻撃を行い、その攻撃で敵ユニットを撃破した場合、そのユニットを捕獲することが可能である。状態としては敵ユニットを担いでいるような形になるが、このコマンドで捕獲した敵ユニットからは、自分の体格以上の重さを持つ武器であっても、盗めるアイテムならば全て入手する事が可能である。このコマンドを実行するには、対象となる敵ユニットの体格が実行側ユニットの体格未満であり、なおかつ騎乗していない事が条件となる。ただし実行側ユニットが騎乗している場合は、体格19までの歩行ユニットが捕獲対象となる。このコマンドで捕獲を試みられる側のユニットが武装していない場合は無条件で捕獲成功となってしまうため、他作品で有効な「杖ユニットや丸腰の育ったユニットを壁にして、他のユニットに経験値を渡す」といった戦法を取る事はできなくなっている。
 これらのコマンドは敵側のユニットも実行するもので、アイテム管理や自軍・友軍ユニットの位置取りには十分に注意を払う必要がある。
  • 永続する状態異常
 他作品の状態異常は、概ね5ターンが経過する事によって自然回復する事がほとんどである。しかし本作においてはどの状態異常も自然回復する事がなく、毒を受けた場合にはスリップダメージによりユニットが死亡する事もある。これらの状態を解除する為には、ほぼ全ての状態異常を回復するレストの杖を使うか、どくの場合にはどくけしを使用するかしかない。この状態異常永続の仕様は、本作のストーリーにも大きく関わるものである。
  • 可変式のステージ構成
 本作では従来の作品と同じようにシナリオキャンペーン方式を採っているが、ゲームクリアまでに攻略しなければならないマップ数は状況により異なる。特定の条件を満たさなければ進行できない「外伝マップ」や、どちらの道に進むかによって攻略するマップが大きく変わるルート分岐等は、本作で初めて導入されたものである。
  • 自由度の高い攻略
 これまで記述した「特殊なシステム」や「厄介な仕様」は、非常に自由度の高い攻略が可能である事の裏返しでもある。本作のシステムは理解し辛いものが多く、習熟までには多くの試行錯誤や挫折を経る事となるが、これらを一度覚えてしまえば、後はプレイヤーの思うがままである。攻略の定石と呼べるものは各マップにおいて存在はするものの、マップクリアに至るまでの解法は他のシリーズ作品とは比べ物にならないほど存在する。本作はファイアーエムブレムシリーズ中において、最も柔軟な思考を要求される一方で、最も柔軟な戦い方が可能な作品であると言える。

世界観

ユグドラル大陸を参照。

登場人物

ファイアーエムブレム トラキア776の登場人物一覧を参照。

テレビコマーシャル

ローソンの情報端末・Loppiの機能解説を兼ねたCMであるため、他作品と比較してゲームの世界観との乖離が著しい内容となっている。

 	CM_ローソン_ファイアーエムブレム_トラキア776_(SFC)_Fire_Emblem 	 			  

脚注

  1. なお、前作・聖戦と本作の間にサテラビューでアカネイア戦記が配信されているが、通常のプレイ方法で遊べないタイトルのため各種文献でも長年、シリーズにカウントされないことが多く「第5作」でなく「第4.5作」として扱われるのが通例である。
  2. このような予約・初回特典が公式で付けられた例は烈火蒼炎で卓上カレンダーとサウンドトラック存在する。
  3. ゲームの性質上「盗む」コマンドを多用することが理由か。

外部リンク

No image この記事は書きかけです。是非とも、この記事に加筆してみてください。画面上部の「編集」をクリックすると、編集画面になります。
Advertisement